アーレントの帝国主義論から現代日本を見る

博論執筆のためにハンナ・アーレントの『全体主義の起原』第二部の帝国主義論を読み返しているのだが、アーレントの帝国主義論は現在の日本の政治状況を分析するための示唆に満ちていると思う。 アーレントは帝国主義を全体主義の前段階と位置づけ、それを「…

ネット社会は過去志向型カルチャーを生み出す。

最近は少しずつ吉田拓郎やら中島みゆきやらユーミンやら、昔の歌謡曲をよく聴くようになってきた。洋楽にしてもビートルズとかビーチボーイズとかカーペンターズとか古いのばっかり聴いてますね。今のJ-POPや洋楽が楽しくなくても、過去のアーカイブに簡単に…

コンピューター将棋、ついに男性プロ棋士に勝つ!

もう2ヶ月近く前のニュースですが、コンピューター将棋がついに男性プロ棋士を負かす、という歴史的事件がありました。 - ◆米長永世棋聖、無念…将棋ソフトに敗れる日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖(68)が14日、東京・千駄ケ谷の将棋会館でコンピュ…

「J・エドガー」感想

観てきました。初のイーストウッド監督×ディカプリオ作品、しかもFBI初代長官の半生を描いた史実もの、ということでかなり期待して観に行ったのですが、正直期待はずれでした。悪い映画じゃないんだけど、さすがに地味すぎる(笑)淡々とストーリーが流れて…

「平均」の意味、大学生の24%が理解せず、の意味を理解しない大人たち

- ■「平均」の意味、大学生の24%が理解せず(読売新聞) http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/scholastic_ability/ ゆとり教育の影響のほか、少子化による大学全入時代の到来で入試の難易度が下がったことなどが、理由として指摘されている。 調査は…

なぜ平松大阪前市長は大阪府の財政悪化を責めなかったのか?

◆大阪市長選:平松邦夫前市長に光あれ!〜前市長の残した実績を最大限の賛辞を持って称えたいそうそう、平松さんはこういう業績をもっとアピールすればよかったのに。勿体ないなぁ。 ちゃんと放置自転車の削減以上の実績を残してるのにね。 参考:◆市政改革…

大阪市長選に思うこと

※この記事は市長選前にmixi日記で書いたものです。もう古くなってしまったネタですが、個人的記録のためにこちらにも転載しておきます。 - さすがに演説うまいというか、小泉純一郎の再来という感じ。 大して中身はないのに勢いと熱意で押し切られてしまう。…

年収ラボ

下がってるねー。 サラリーマン平均年収の推移 この年収ラボってすごい。 たいていの会社の平均年収がわかる。 例えば銀行業界だとこんな感じ。 職業別ランキングはこんな感じ。 1位 パイロット 1,238万 2位 医師 1,159万 3位 大学教授 1,122万 4位 大学助教…

妄想小説

日本の腐敗した政治状況に憤った若者たちが、226事件の青年将校なみに決起してテロを起こし、日本の政治家を暗殺しまくって日本の中枢を乗っとる、という小説や漫画を書いたら面白そうだけど、誰かそういうの書かないかなぁ。すぐに鎮圧されると思いきや、テ…

消費税引き上げに賛成?反対?

民主党の増税路線がはっきりしてきました。 ◆ 所得・相続税も増税、消費税10%明記 一体改革最終案 http://www.asahi.com/politics/update/0617/TKY201106170250.html 先日の日記で、脱原発路線の賛成/反対とともに消費税増税の賛成/反対で、民主党/自…

日本で二大政党制は成立するか?

今回の原発論争を機に、民主党と自民党がそれぞれ以下のように対立的政策をとれば、日本でも二大政党制が機能するようになるんじゃないでしょうか。 民主党・脱原発 ・消費税増税賛成 ・外国人参政権賛成 ・憲法9条改正反対 自民党・原発持続 ・消費税増税反…

twitter=マルチチュード?

ネグリの名前を出すと大抵の人に「マルチチュードなんてどこにいるの?」と聞かれるのだが、例えばtwitterのTLはマルチチュードそのものではないかと思う。twitterを通じて行われた反原発デモなどはまさにマルチチュードの典型だろう。<共>な問題関心をキ…

『思想地図β』の挑戦が意味するもの

思想地図β vol.1作者: 東浩紀,宇野常寛,千葉雅也,速水健朗,北田暁大,鈴木謙介出版社/メーカー: 合同会社コンテクチュアズ発売日: 2010/12/21メディア: 単行本購入: 29人 クリック: 823回この商品を含むブログ (101件) を見る 東浩紀が創刊した『思想地図β』…

自己啓発本はなぜ流行るのか?

この前の続き。BRUTUS1月号で面白かったもうひとつの記事は速水健朗さんの自己啓発本ブームを取り上げたもの。 BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 [雑誌]出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2010/12/15メディア: 雑誌購入: 15人 クリック: 229回この商…

なぜサンデル本はヒットしたのか?

BRUTUS (ブルータス) 2011年 1/15号 [雑誌]出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2010/12/15メディア: 雑誌購入: 15人 クリック: 229回この商品を含むブログ (27件) を見る 2011年1月号の「BRUTUS」は「本。」特集で非常に面白かった。 なかでも、いとう…

なぜワタナベくんとレイコさんは寝たのか? ー私的『ノルウェイの森』解釈ー

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/09/15メディア: ペーパーバック購入: 31人 クリック: 899回この商品を含むブログ (763件) を見るノルウェイの森 下 (講談社文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発…

書評:山田昌弘『ワーキングプア時代』

ワーキングプア時代作者: 山田昌弘出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/06/12メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (6件) を見る 日本で「ワーキングプア」という言葉が有名になったのは、2006年7月にNHKでワーキングプアに関する特集が…

映画感想「ノルウェイの森」

もともと原作ファン、というか村上春樹ファンなので観に行くつもりなかったのですが、周囲で聞く評判が意外に良いものばかりなので、気になって観に行ってきました。結論としては、「悪くなかった」です。点数つけるなら65〜70点くらい? <良かった点> ・…

映画感想:「ソーシャルネットワーク」

とりあえずの感想は「こんなに早口な映画は見たことない」ということ。主人公のザッカーバーグも、ナップスター創設者のショーンも超早口でよく喋る。その他の登場人物に関してもとにかくこの映画はセリフが多い。だいたい映画の8割くらいは誰かが喋ってい…

子ども手当は「バラマキ」か?

最近は「バラマキだ!」と言われて、すこぶる評判の悪い子ども手当ですが、1年4ヶ月前の選挙では結構多くの人が子ども手当に賛成していたはずで、あのときに子ども手当を支持していた多くの人たちは一体どこへ行ってしまったんでしょう?僕は今でも子ども手…

新入社員は何を欲望するのか?

公益財団法人 日本生産性本部「2010年度 新入社員 秋の意識調査」より。 http://activity.jpc-net.jp/detail/mdd/activity001012/attached.pdf同調査によれば、「入社前に描いていたイメージと現在(配属後)の状況を比較し、「期待以下」、「期待通り」、「…

NPO寄付税制

民主党ボロボロな状態ですが、来年度の税制改正大綱はなかなか悪くないと思う。 特に「市民公益税制」の中の①NPO寄付税制の整備(税額控除制度の導入)や②認定NPO法人制度の見直しなどは評価したい。鳩山悠紀夫肝煎りの「新しい公共」の成果もここに極…

映画感想「アンストッパブル」

昨日観てきました。 これほどストーレートで潔いアクション映画は久しぶりに観た。 余計なエピソードとか伏線とか一切なくて気持ちいい! 大量の化学薬品を積んだ超重量級の貨物列車が無人で暴走。さあこれをどう止める? という単純明快なストーリー設定だ…

書評:『貧困の終焉』

貧困の終焉―2025年までに世界を変える作者: ジェフリーサックス,Jeffrey D. Sachs,鈴木主税,野中邦子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/04/01メディア: 単行本購入: 15人 クリック: 174回この商品を含むブログ (85件) を見る http://:title=「これは、…

書評:『1Q84 BOOK3』

1Q84 BOOK 3作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/16メディア: ハードカバー購入: 70人 クリック: 2,125回この商品を含むブログ (644件) を見る ようやくBOOK3を読み終えた。 BOOK2を読み終えた後に比べればだいぶ謎が解けた感はあるけど、…

書評:『成熟日本への進路』

いろいろと参考になる数値・データが多かったので、自分用のメモのためにもやや詳しめにまとめてみます。書評というよりほとんど要約ですが。 成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)作者: 波頭亮出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/…

書評:毛利嘉孝『ストリートの思想』

ストリートの思想 転換期としての1990年代 (NHKブックス)作者: 毛利嘉孝出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2009/07/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 12人 クリック: 177回この商品を含むブログ (62件) を見る マルクス主義の失墜後、左翼的な言説が…

書評:『最強の経済学者 ミルトン・フリードマン』

最強の経済学者 ミルトン・フリードマン作者: ラニー・エーベンシュタイン,大野一出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2008/01/24メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 151回この商品を含むブログ (24件) を見る マルクス思想を勉強している僕の周辺からすれば…

書評:『職業としての政治』

職業としての政治/職業としての学問 (日経BPクラシックス)作者: マックス・ウェーバー,中山元出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2009/02/19メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 130回この商品を含むブログ (25件) を見る ウェーバーの名講演「職業としての…

書評:『脱サラ農業で年商110億円! 元銀行マンの挑戦』

脱サラ農業で年商110億円! 元銀行マンの挑戦作者: 鈴木誠出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/02/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (1件) を見る32歳でそれまで勤めていた銀行を辞め、農業法…