書評:『脱サラ農業で年商110億円! 元銀行マンの挑戦』

32歳でそれまで勤めていた銀行を辞め、農業法人ナチュラルアートを立ち上げた鈴木誠さんの挑戦記。
「農業以外の業界にいた人間だから分かることもある」と、元銀行マンの視点から見た農業のおかしな点をずばずばと指摘されています。昨今のプチ農業ブームにつられて、脱サラして農業を始める人の書いた本は珍しくないのですが、この鈴木さんの語り口は非常にまっすぐで好感がもてました。
「日本の農業を元気にしたい!」という最近よく聞くセリフも、この人の語り口では素直に受け止めることができました。「大切なのは人と人とのつながり」と繰り返し強調する実直さと、元銀行マンならではの金融やビジネスの視点がうまく噛み合わさって、その信頼感を醸し出しているのだと思います。
日本農業の現状についてもわかりやすくまとめてあるので、農業関連でなにか一冊読んでみたいなーという人にオススメです。


・メモ
「価格交渉力をもたないから農家は貧しい」
「縦割り社会からの脱却が必要」→「農業者同士の連携を強化しよう」
「どうせ儲からないし、という負け犬根性を捨てることから始めよう」
「これからは農業もポートフォリオ戦略が必要」
「農協にも存在意義はある」