NPO寄付税制

民主党ボロボロな状態ですが、来年度の税制改正大綱はなかなか悪くないと思う。
特に「市民公益税制」の中の①NPO寄付税制の整備(税額控除制度の導入)や②認定NPO法人制度の見直しなどは評価したい。鳩山悠紀夫肝煎りの「新しい公共」の成果もここに極まるというところか。


平成23年税制改正大綱」
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/h23zeiseitaikou.pdf


こういう地味なところでしか評価できないのが残念だけれど。
以下メモ用に抜粋。(23-24ページ)


7.市民公益税制

(1)基本的な考え方
新しい公共」によって支え合う社会の実現に向けて、特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)をはじめとする、市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支える環境を税制面から支援することとします。


(2)改革の取組み
所得税の税額控除制度の導入
認定NPO法人への寄附について、草の根の寄附を促進するため、所得税において新たに税額控除を導入し、所得控除との選択制とします。 その際、寄附がチャリティの精神に基づくものであるという点にも留意しつつ、寄附者と政府が併せて支援するとの考えの下、所得税と個人住民税で合わせて 50%までの税額控除を可能とすることとします。また、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人及び更生保護法人についても、草の根の寄附を必要とする「新しい公共」の担い手として、市民との関わり合いが強く、かつ、運営の透明性が確保されている法人を税額控除の対象とします。いずれも、平成 23年分から適用します。 なお、認定NPO法人以外の法人への寄附に係る税額控除については、制度導入後、どの程度の数の法人が税額控除の対象となっているかの実績を検証し、必要に応じて、各法人の特性を踏まえた要件等の見直しを検討します。


② 認定NPO法人制度の見直し
後述の新認定法に基づく新たな認定制度が施行されるまでの間の対応として、事業収入の多いNPO法人でも、幅広く市民の支持を得ているのであれば認定を受けられるよう、パブリック・サポート・テスト要件に一定金額以上の寄附者の絶対数で判定する方式を導入し、現行の判定方式との選択制とするなど、認定要件の見直しの一部の措置を講ずることとします。併せて、適切な税制上の事後的是正措置を整備する観点から、認定NPO法人のみなし寄附金について、認定取消しがあった場合には、取消しの原因となる事実のあった事業年度まで遡った取戻し課税を行うこととします。


③ 新認定法に基づく新たな認定制度
新しい公共」の枢要な担い手となるNPO法人の健全な発展のための環境整備を図るため、新たな法律又は改正特定非営利活動促進法(以下「新認定法」といいます。)により新たな認定制度を整備することとします。このため、内閣府は、関係省庁の協力を得て、新たな認定制度等について、地方団体と協議を行い、その協議を整えた上で、平成 24 年4月から開始されるよう、次期通常国会において所要の法整備が行われることを目指します。 新認定法に基づく新たな認定制度が、「認定の間口は広く、事後チェックをしっかりやる」との考え方の下、次のイのようなものとして整備された場合には、ロの税制上の措置を講ずることとします(「市民公益税制PT報告書」を参照)。
(中略)


地域において活動するNPO法人等の支援(個人住民税)地域において活動するNPO法人を支援するため、控除対象寄附金の拡大を行います。
また、「ふるさと寄附金」を活用してNPO法人等への支援を促進するため、控除対象寄附金の取扱いを明らかにすることを通じて寄附しやすい環境を整備します。さらに、寄附文化の裾野を広げるため、寄附金税額控除の適用下限額の引下げを行います。


政権交代の効果というのは結局こういう地味なところにしか表われないんですかね。政治の大きな枠組みは結局自民党時代とあまり変わらない。しかしマスコミに報道されないような(それゆえ国民の注目を引きにくい)部分では着実に良くなっている部分もある。


・こういうのとか地味だけど研究者関係には大きな話↓
「科学研究費、繰り越し可能に…一部を基金で運用」 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20101221-OYT8T00266.htm


・こんなニュースも。正しい方向と思うけど、じゃあ事業仕分けって何だったんだ?と言いたくなる。
科研費、過去最大の230億増額 政府の来年度予算案」 http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010122101000885.html


・あと民主党政権最大の成果は記者クラブのオープン化(記者クラブ制度の既得権潰し)かな。もちろんまだまだ不十分な点はあるようですが。
 畠山理仁の「永田町記者会見日記」http://www.magazine9.jp/hatakeyama/001/


こういうシングルヒットによる得点以上に、大きい局面(外交・メディア対策など)で大量失点しまくっているので、勝負としては大負けなんですけどねー。でも、もし本当に「政権交代によって政治の大きなところは変わらない」のだとしたら、政権が自民党に戻ったところでどうせ状況は同じなのでしょうから、よく言われているように「自民党にやらせても民主党にやらせても大差ない」ということになる。かといって、ネオリベの「みんなの党」とかに任せたらもっとひどいことになるでしょうしね。


結局、日本国民の政治レベルがその程度のものだということなのでしょう。諦めるしかないね(笑)「絶望から出発しよう」by宮台真司。日本だけじゃなくて、アメリカでもヨーロッパ諸国でも状況はまぁ似たり寄ったりです。先進国の議会制民主主義ってそういうなんだ、と政治学を専攻する先輩から教えてもらいました。


ならば地道なところでひとつひとつ我々の生活を良くしてくれる「少文字の政治」に期待したい。テレビや新聞が伝える「大文字の政治」ではなく。そういう意味で、地道なシングルヒットを打っている民主党の若手に期待しています。上層部はもうちょっとなんとかしてくれ。小沢報道は聞き飽きた。