書評:『最強の経済学者 ミルトン・フリードマン』
- 作者: ラニー・エーベンシュタイン,大野一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: 単行本
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マルクス思想を勉強している僕の周辺からすれば、この人は悪の権化のような存在です(大げさじゃなくて)。
でもこの本はなかなか面白かった。
フリードマンの生涯をたどりつつ、その基本的な思想を解説した良い入門書になっています。
フリードマンはいわゆる「小さな政府」派の経済学者で、最近さかんに叩かれている〝ネオリベ〟の元祖です。市場原理主義、規制緩和、国営組織の民営化、税率の引き下げなどを提唱しました。レーガン・サッチャー政権の理論的支柱を提供し、小泉内閣の構造改革にも大きな影響を与えたと言われています。
思想・信条はまったく違いますが、こういういかにも学者然とした経済学者には憧れます。
・数学が得意で、統計学の手法を用いながら、常に実証主義的な研究を重んじた。
・頭の回転が異常に速く、議論ではいつも相手を打ち負かした。
・政府の政策委員会にたびたび出席し、積極的な政策提言を行った。
・数々の重要な経済理論を打ち立て、ノーベル経済学賞を受賞した。
などなど。
とりあえずめちゃくちゃ頭が良かったようです。
以下メモ。
・マネタリスト、シカゴ学派、新自由主義の元祖、レーガン・サッチャー政権に大きな影響を与えたノーベル経済学者、反ケインジアン、リバタリアニズムの元祖…などなど様々なキャッチフレーズを持つ人物。
・具体的な政策としては、変動為替相場制度、k%ルール、負の所得税、徴兵制廃止、税金の物価スライド制、所得税最高税率の引き下げ、教育バウチャー制度、麻薬の合法化などを訴えた。
・財政政策はマクロ経済にほとんど影響を及ぼさないとし、金融政策を重視した。
・座右の銘は「インフレは、いついかなる時も貨幣的な現象である」
・貨幣数量説であるマネタリズムを蘇らせマネタリストを旗揚げ、反ケインジアンの宗主として「フリードマンの反革」を決行、今日の経済に多大な影響を与えた。
・米国のレーガノミックス(レーガン政権)や英国のサッチャー政権の経済政策の理論的支柱を提供した。日本の小泉純一郎政権の「聖域なき構造改革」についても、大きな影響を与えたといわれている。