書評:『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

本屋の店頭で見つけて、気になって購入。
日清・日露戦争に始まって、第一次世界大戦満州事変〜日中戦争〜太平洋戦争まで、
近代日本が経験してきた戦争について、一章ずつ解説。


著者(歴史学者・東大教授)が歴史研究サークルに所属する中高生を相手に行った講義が元になっているので、言葉遣いが平易で分かりやすい。
通常の教科書や歴史解説書ではあまり出てこないような話がいろいろ出てくるので面白い。
かつ、「戦争」を通して近代日本の歴史が総復習できるのも良い。


ただ肝心の「それでも、日本人は「戦争」を選ばなければならなかったのは何故か?」という疑問があまり深く追求されていなかった気がして、そこは少し残念。


以下、amazonに載っていたレビューですが、

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五つの戦争の戦争に関する資料をじっくり読み込み、良く咀嚼し語られている。
しかし、資料主義に徹するあまり,肝心の社会全体の流れが把握されていない。
第二次大戦について評するならば、以下のような社会情勢に全く触れられていない。

(1)1929年の世界恐慌、1932年のオタワ会議に端を発するブロック経済
   より、持たざる国であるドイツと日本が経済的に追い込まれていったこと。

(2)そういった中で、ソビエト革命発の社会主義イデオロギーが世界に拡散し、
   ドイツではナチス、日本では右翼社会主義的思想の台頭を許したこと。

(3)日中戦争の激化に伴い、日本はABCD方包囲陣により、経済はさらに悪化し、
   アメリカの石油禁輸により、エネルギーが枯渇することが必然となったこと。

(4)中国では「通州事件」が起き、アメリカでは「絶対的排日移民法」が成立し、
   日本人の人種・民族感情が極限に達し、政治家、軍部を戦争に駆り立てたこと。

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たしかにこの辺りの(いわゆる右の人たちが好きな)説明はまったく出てこないので、
そこは批判が出るのも当然という気がする。
Amazonのレビューもかなり賛否両論です。


まぁ完璧な歴史解説書というのはあり得ないので(特にこういう戦争に関しては)、
仕方ないところもあると思いますが、もう少し内容的に突っ込んでほしかったかなぁという感想です。