読書メモ:『日本は財務危機ではない!』
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 単行本
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『さらば財務省!』の続編です。
現在の日本には約800兆円の赤字があるとされています。
この財政赤字をなんとかするために消費税を引き上げよう、という議論があるわけですが。
この本の著者はタイトル通り、日本は財務危機ではない!というわけです。
なぜか。
それは日本政府が約500兆円の政府資産を持っているからです。
日本ほど多額の政府資産をもっている国は他にない。
ゆえに、日本の財政赤字を考える際は、粗債務から政府資産を差し引いた純債務で、
赤字額をはかるべきである。
すると、粗債務(800兆円)−政府資産(500兆円)=純資産(300兆円)となって、
実質的には日本政府の財政赤字は約300兆円というのが正しい。
日本の年間GDPは約500兆円ですから、
粗債務の800兆円で考えると、債務の対GDP比は160%になって、これは世界で見ても有数の高さなわけですが、
純債務の300兆円で考えると、債務の対GDP比は60%になって、これは世界レベルで見て極端に高い数字というわけではない。
ゆえに日本は財政危機ではない!
財政危機をさかんに喧伝して、増税を訴える財務省と政治家(与謝野さんとか?)にダマされてはいけない!
というわけです。
まぁロジックは明解ですわな。
他にも財政や公務員制度改革の舞台裏をいろいろ明かしてくれていて勉強になる。
やっぱり知性と経験が揃った人の話は面白いですね。
何でもかんでも民営化しろ、市場原理を導入しろ、というあたりには賛成できないけど。。
まぁそういう考えの人がいてもいいと思います。
よく分からないのは金融政策の有効性。
この人は財政政策はほとんど効果がないから、日本はもっと積極的に金融政策を取り入れるべきだという。しかし、最近読んだ野口悠紀雄の文章では、金融政策なんて大した効果はないから、産業構造の転換を推し進めろという。
一体どっちが正しいの?
金融政策が景気対策として有効なのかどうかは、一流の経済学者でもまだ論が割れているということでしょうか。
そこらへんはっきりさせて欲しいと素人は思います。
まぁたとえはっきりさせても、この政治のスピードの遅さではどうにもならないかもしれませんが…