「事業仕分け」と「科学研究費補助」

なにかと話題の「事業仕分け」。
他人事だと思ってたいしてニュースも見てなかったんだけど、
大学院生の自分にも大きく影響が出る(かもしれない)話らしい。


科学技術予算削減の話は、ノーベル学者が批判したりして大きく話題になってたけど、
自分に直接的に関係があるのは「科学研究費補助金」。
要するに、来年から学振への予算が減らされて、
学振の倍率がさらに上がる(あるいは給与の額が減る)可能性があるということ。


ふーむ。それは困った。
(来年も再来年も学振とれへんかったらどうしよう…)



※ちなみに、事業仕分けの結果としては「削減」に決定らしいです。
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111301000870.html

>【競争的資金(若手研究育成)】
>博士課程修了者らに経済的不安を感じさせず研究に専念させることなどを狙った特別研究員事業(要求170億円)は「雇用対策の色合いが強い」「民間に資金を出してもらえないか」との意見が相次ぎ、予算削減となった。若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減との結論。



この件に関しては、
日本の科学技術から世界のトップから取り残されてしまうとか、
民主党のやり方はあまりに横暴じゃないかとか、
高学歴ワーキングプアな博士たちをどうするのかとか、
いろいろな批判があります。(周囲の院生、先生方からも圧倒的に批判の声が強い)


たしかに来年以降、自分が学振とれる可能性がに減ってしまうのは困ったことなんですが、
民主党科研費を「事業仕分け」すること自体は良い試みなのではないかと、個人的には思っています。


最終的に科研費が削減されることが日本の将来にとってプラスなのかマイナスなのかは別として、現在の科研費予算の額と配分方法が適切なものであるかどうかを議論すること自体は、基本的に良いことではないかと。


というのは、大学の研究費の使い方、グローバルCOEの予算の使い方、学振の給与額や配分方法などには、現実的にかなりの無駄と問題点があることは、大学院関係者なら誰もが知っていることだからです。(詳しくはコチラ ↓)

◆ムダを減らすことはできないか
http://researchmap.jp/tsuyoshimiyakawa/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/


僕も、長期的な方向性としては、大学関連の予算を減らしていくことには大いに問題があると思います。
しかしそれはそれとして、現在の科研費の使い道・配分方法を見直すことによって、日本の学問技術のレベルを下げずに、多くのムダを搾りだすことは十分に可能なはずです。
(たとえば単純に、学振で大学院生に月給20万+年間研究費60万円もいらんですよ!これは半分以上学振に落ちた負け惜しみのようなものですが)


もし本当に必要な予算なのであれば(それだけ大学に国民の税金をつぎこむ価値があるのならば)、大学・研究者側はそのことを政府と国民に向かって説得する義務があるということです。


◆<事業仕分け>国立8大学学長「政府と大学界もっと対話を」
http://mainichi.jp/life/money/news/20091127k0000m040095000c.html

◆「事業仕分けは大いに問題」--江崎玲於奈氏などノーベル賞受賞者が緊急声明
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20404223,00.htm


まぁ現実的には、既得権益をもった分野・系統の人たちの予算が残って、現在弱い立場にある分野・系統の人たちはよりいっそう予算を削られるのが目に見えているので、この削減に問題が多いのは嫌というほど分かってるんですけどね。。(というか自分の将来が一番危ない)


かといって、ただ大学への予算が削られることを脊髄反射的に反対してるだけなら、かつての道路族や郵政族既得権益者たちと何も変わりがないなと、しみじみ思います。


◆学振が「事業仕分け」の対象に
http://d.hatena.ne.jp/kan-ko/20091109/1257780506

◆内閣高支持率保つ「事業仕分け」 透明性が国民の評価うける
http://www.j-cast.com/2009/11/24054613.html

高橋洋一民主党ウォッチ 事業仕分けの限界 埋蔵金まだまだある
http://www.j-cast.com/2009/11/26054783.html