書評:『経済成長って何で必要なんだろう?』

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

この本を読む前は、
正直、日本は経済成長とかもういいんじゃないかなー、
と思ってたんですが、この本を読んで考えが変わりました。


いまの日本でも毎年2%ずつくらいの成長は十分可能だし、必要だ!
という飯田泰之さんの主張に説得されました。
人間は毎年だいたい2%ずつ効率が良くなっていくので、経済のパイも2%ずつくらい成長していかないと、毎年2%の雇用が失われることになってしまう、というのが飯田さんの主張の要旨ですね。


安定的に経済成長しつつ、累進課税相続税を強め、再配分はきっちり行う、
という飯田さんのプランはかなり良いのではないかと。
逆にいえば、再配分をしっかり行いたいのならば、安定的な経済成長は不可欠、ということですね。


あとケインズ主義と新自由主義の考え方は必ずしも矛盾しない、という意見は目から鱗でした。
たとえていうならば、「病気のときには点滴をして薬を飲みましょう」というのがケインズ主義の考え方、「健康になったら筋トレしましょう」というのが新自由主義の考え方で、それぞれの処方箋は異なるけれども、それは処方する相手の状態が違うことが前提の話であると。


赤木智弘湯浅誠などの「貧困派」の人たちとガチンコ対談してるあたりも、読んでいて好感が持てました。

飯田さんは「経済学のセールスマン」を自称しておられるそうですが、このように経済学にかんする一般的な誤解をとき、正しい経済学の知識を広める役割というのは非常に重要だと思います。これからも活躍を期待しています。