書評:『マネーはこう動く』
- 作者: 藤巻健史
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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最近の日本経済や世界経済の状況が分かりやすくまとめられていて、勉強になりました。
著者によれば、現在の日本経済は
①財政赤字がひどい
(10年間で国の借金が330兆円から830兆円と2.5倍も増えた)
③日銀の当座預金がジャブジャブにある
(日銀が国債を買いまくったため)
これらの状況から、将来の日本ではインフレが起こり、長期金利が上昇するだろう、というのが著者の予想。
そこで資産運用としては、
①長期固定金利でお金を借りて、
(こんな低金利でお金を借りられるのは今のうちだけ)
②株、不動産、外貨建て商品を買う。
(インフレ時には株、不動産、外貨建て資産などを持っていると有利)
③逆に債権、国債は売る。
(金利があがると債権、国債の価値は下がる)
というのが著者の戦略だそうです。なるほど。
まぁこの本はリーマン・ショック以前に書かれたものなので、現在から見ると内容的に既に時代遅れな感も否めませんが(例えば、サブプライム問題にもかかわらずアメリカの好景気はこれらからもずっと続くだろうから、どんどんアメリカに投資しなさいと書いてある)、現時点でも有効な視点もたくさん含まれています。
特に重要だと思われるのは、日本の財政赤字を軽減するためにいずれインフレが起こり、長期金利が上昇するだろう、と予想している点。このシナリオはすぐには実現しえないにしても、将来の可能性として頭に入れておくべきものだと思います。