書評:『反哲学史』
- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/04/10
- メディア: 文庫
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反哲学史、というのでどれだけ奇をてらった哲学史なのかと思ったら、きわめて真っ当な西洋哲学史の本でした。木田元の本を読んだのは初めて。
ソクラテス以前の古代ギリシア哲学者から、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、アウグスティヌス、デカルト、カント、ヘーゲル、ニーチェまでの哲学史を初心者向けに解説していて、非常に分かりやすかった。
ニーチェ、ハイデッガー以降の哲学は、ソクラテス以前の哲学者たちが追求していた「自然(ピュシス)」を対象とする哲学を復興させようとした、ということですな。
「哲学」は英語でphilosophyですが、これは古代ギリシア語のphilosophiaに由来します。
philosophiaはphilein(愛する)とsophia(知恵)を組み合わせてできた言葉で、したがって元々の意味は「知を愛すること」でした。
古代ギリシアの哲学者ピタゴラスが言うには、世の中には三種類の人間がいて、それは「お金に貪欲な人間」、「名誉欲の強い人間」、「知を愛する人間」の三種類であり、自分はそのうち三番目の「知を愛する人間」であると。
僕も「知を愛する人間」のはしくれとして勉学に励みたいと思います。