書評:『反哲学史』

反哲学史 (講談社学術文庫)

反哲学史 (講談社学術文庫)

哲学史、というのでどれだけ奇をてらった哲学史なのかと思ったら、きわめて真っ当な西洋哲学史の本でした。木田元の本を読んだのは初めて。

ソクラテス以前の古代ギリシア哲学者から、ソクラテスプラトンアリストテレスアウグスティヌスデカルト、カント、ヘーゲルニーチェまでの哲学史を初心者向けに解説していて、非常に分かりやすかった。

ニーチェハイデッガー以降の哲学は、ソクラテス以前の哲学者たちが追求していた「自然(ピュシス)」を対象とする哲学を復興させようとした、ということですな。


「哲学」は英語でphilosophyですが、これは古代ギリシア語のphilosophiaに由来します。

philosophiaはphilein(愛する)とsophia(知恵)を組み合わせてできた言葉で、したがって元々の意味は「知を愛すること」でした。

古代ギリシアの哲学者ピタゴラスが言うには、世の中には三種類の人間がいて、それは「お金に貪欲な人間」、「名誉欲の強い人間」、「知を愛する人間」の三種類であり、自分はそのうち三番目の「知を愛する人間」であると。


僕も「知を愛する人間」のはしくれとして勉学に励みたいと思います。