書評:『21世紀の国富論』
- 作者: 原丈人
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本
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ずっと気になってたんですが、やっと読みました。
前半では、マネーゲーム化、株主至上主義、時価会計、ROE重視のアメリカ的経営を批判。
それらをまとめて感情的に罵倒するのではなく(最近そういう本多いですよね)、
それぞれの経営手法のどこに問題があるのか、実際に経営に関わる者の目線から、ひとつひとつ理論的に説明しています。
後半では、ポストIT産業の在り方を構想。
筆者の予測によれば、ハード製品とソフト製品をクロスさせたPUC(パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)製品が次世代のアーキテクチャーになるとのこと。
「クライアントサーバ型のコミュニケーションからPtoP(ピァ・トゥ・ピァ)型のコミュニケーションへ」というのがPUCのコンセプトだそう。
要は、iPhoneや次世代ケータイみたいな製品をよりPtoP方向へ改良したツールなのかな。
さらにそのような次世代の新技術を育てるためには、ベンチャーキャピタルのもつ機能が重要であることを筆者は強調しています。
マネーゲーム化したアメリカ的経営手段は、長期的な視野で新技術を開発する力をアメリカ企業から奪ってしまった。
いっぽうで製造業に強みを持つ日本企業には、次世代を担う新技術を開発していく希望が残されている。日本企業はこの可能性に投資しない手はない。
そしてその新技術への投資の役割を担うのがベンチャーキャピタリストである、そうです。
やっぱりビジネスの前線で戦っている人の言葉には説得力がありますね。
ビジネスの最先端の動向が分かるので、そういうことに興味がある人にはオススメの一冊です。
最近は「公益資本主義」という言葉を流行らせようとされているようですが、はたして流行るでしょうか。個人的には賛成の立場ですが。